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テーマパークにも必要だった「技に入る前の崩し」。トロピカル王国物語に起きた問題解決のきっかけは、京都のお寺さんの歴史的な演出でした。

note/安里博樹より


https://note.com/hiroki_asato/n/nee55f52f646f


沖縄フルーツランド「トロピカル王国物語」は フルーツ魔法や秘密に囲まれた絵本の世界を冒険するテーマパークです。

2012年に制作が始まり、2013年に正式にオープン、 その後も創り込みは、続いております。

さて、絵本のテーマパークを創るにあたり、 当初、重点的に製作していたのが「秘密」や「仕掛け」でした。

とにかくお客様に驚いてもらいたいの一心、 制作は順調に進んだのですが、ある問題が生じます。

秘密や仕掛けに気づかずに素通りしてしまうケースが見受けられたのです。 つまり、参加率が上がらない。

気づいてもらう為に(本末転倒ですが)、 「秘密はこちら」的なポップを付けたり、看板を立てたりしました。

しかし、ポップを付けても、秘密を目立つようにしても、 反応は上がりません。

どうしたら、 もっともっと冒険に参加してもらえるか悩みました。

そんなある日、 京都を訪れる機会を頂きました。

祇園祭が行われている7月、 「京とうふ藤野」藤野社長ご家族にお会いしました。

皆様には、いつもお世話になっているのですが、 今回は、初めての祇園祭も見学でき、さらに京都の奥深さを感じました。

そんな中、 藤野社長に「あるお寺さん」をご紹介して頂きました。

そのお寺さんは、 有名な戦国武将を祀っているお寺で、通常は拝観謝絶ですが、 特別にご見学させて頂きました。

実は、そこでの体験が、 私にとって大きな変化をもたらすきっかけとなります。

お寺に入ると、 建物やお庭などの説明を頂きました。 その歴史観やストーリーはとても素晴らしいものでした。

一通りご説明が終わったのですが、 住職さんが私にこう言いました。 「今日は特別に、こちらもご案内しましょう

どうやら「特別な場所」をご案内頂けるようです。

奥に進んでいくと、本堂から少し離れた場所に 小さな建物がありました。

建物の中には二室、 お湯を沸かす小さなお部屋と畳が3畳分ほどの茶室です。

茶室は、小さく、光もありません。 戦国武将がこちらでお茶を楽しんでいたと説明を受けましたが、 先ほどのきらびやかな建物とは正反対。 正直、麺食らっていたのですが、

「少し・・・、お待ち下さいね」

住職さんが、私の後ろの方に周りました。

頭の上の方でしょうか、小さな窓に手をかけました。

小窓を開けると、 暗いお部屋の中に一筋の光が差し込みました。

光の先には、 「一輪挿し」が置かれておりました。

私は、それに気づいてなかった為、 思わず、驚いてしました。

「今日は、このお花の美しさを見て頂きたく、こちらへご案内したのですよ」

そう言うと、 お部屋の扉を全開しました。

窓の外は、 一輪挿しのお花が咲き誇った庭園が広がっておりました。

その演出と世界観に圧倒されました。

そこには、 正に私が悩んでいた事への答えがありました。

私は、テーマパークの制作において、 お客様に驚かせる為の秘密や仕掛けを、多く作ればよいと思っていました。

でも、そうではなかったのです。

足りなかったものは、「そこに至るまでの演出」でした。

つまり、「技に入る前の崩し」

茶室のサイズや暗さなどは、 全て「サプライズ前」の大事な仕掛けだったのです。

早速、トロピカル王国物語の秘密や仕掛けに「至るまでの演出」の造込みに入りました。

まず、壁や天井。 これらを全て調整し、圧迫感や開放感の「差」を創り出します。

特に秘密の前には、 暗さや音楽や効果音や匂いに至るまで設定しました。 (これが後日、世界観へ繋がっていきます)


それが進むにつれ、お客様の変化が出てきました。 絵本の世界を冒険する方、 つまり、秘密を解こうとする方々が増えてきたのです。

ちなみに、一つ目の秘密は「見えない妖精の洞窟」です。 洞窟の奥深くに隠された3文字を探し出さなければならないのですが、 洞窟の中は、 暗さ(ブラックライト)、 狭さ、 マイナー調の音楽、 中が見えない穴に手を入れる恐怖等のマイナス要因を重ねる事で、 お客様の緊張を誘い、絵本の世界に強制的為に入ってもらう 「外の世界からの遮断」という意味合いを持たせております。



さて、京都での貴重な経験にて、 エンターテイメントは、昔からあった事に驚くと共に感動しました。 きっと戦国武将の方々も、お客様の驚く顔が見たくて創意工夫したのだろうなと、 ほんの少しだけ身近に感じることができました。

さて、トロピカル王国物語の世界も一つ一つ大事に創り込み、 末長く皆様に愛されるテーマパークを目指していきます。 機会を頂いた藤野社長や今井さんや住職さんを始め多くの皆様に感謝いたします。

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