映画るろうに剣心が教えてくれた「物語に欠けてはいけないもの」。トロピカル王国物語「ゼロの物語」誕生の話。沖縄フルーツランド安里博樹/noteより
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- 2021年5月2日
- 読了時間: 4分
noto/安里博樹より
絵本体験型施設「トロピカル王国物語」の制作は、2012年に始まりました。
当時のプロジェクト名は「RPG計画」 まさにフルーツランドを冒険するテーマパークに進化させようという計画でした。
以前から温めていたアイデアをまとめ、 製作チームを2つに分けスタートしました。
モニュメント製作チームは、造形物制作と設置工事、 コンセプトチームは、絵本やゲームや世界観に至るまでを担当します。
さて、計画の根本となる「物語」を制作するにあたっては、 制限が一つございました。 物語を沖縄フルーツランドの園内という「現実空間」に合わせなければならないという事です。
その為、物語の構成を大きく2つに分けることにしました。 前半から中盤にかけては、現実空間に合わせて制作。 後半は、PC上での展開となる為、自由度を目一杯活かして、 内容を一気に急展開させる事にしました。
さて、一通りできた物語を何度か読んでいくと、 ある違和感を感じるようになります。
一言で表すと「物足りなさ」
物語に薄さを感じてしまうのです。 文章を書き足したり、変えてみたりしたのですが、すっきりしません。
悩んでいる中、大きな転換点となる作品に出会うことになります。
2012年8月に公開された映画 「るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー」 主演:佐藤健さん
この映画の原作は、 1994年から1999年まで週間少年ジャンプで連載されていた漫画です。 ちなみに、私は中学生から大学生の間で、漫画どっぷりの頃。
毎週楽しみにしていた漫画だったので、面白いことは知っていましたが、 連載が終了してから”約13年”も経ってからの映画化です。 「なぜだろう!?」と制作チームの中でも話題になりました。
改めて、もう一度読んでみることにしました。 当時と違うところは、私自身が「制作側」に立っている事。 その立場から読んでみると、二つの大切な要素が見えてきました。
一つは、「キャラクター達の主義主張がしっかりしている事」
主人公の剣心(日村抜刀斎)には「逆刃刀の思い」 敵役の志々雄真実には「弱肉強食への信念」 その他のキャラクターにも主義主張がしっかり描かれております。
二つ目が、「そうならざるえなかった過去がある事」 主人公の剣心は明治維新を戦い抜いた壮絶な過去、そして頬に残った十字傷、 敵役の志々雄真実にも、明治政府に利用され全身大火傷を負いながらも圧倒的な武力で日本統治を決意するという壮絶な過去編があります。 決して単純な勧善懲悪ではありません。
制作当時にたくさんの漫画や映画やゲームなど参考にしていたのですが、 改めて、その観点から見直してみると全て該当します。 鋼の錬金術師、ブリーチ、ワンピース、まどか☆マギカ、うしおととら、fate、ハンターハンター、スターウォーズ、ドラゴンクエスト5、ファイナルファンタジー・・・その他多くの作品。
最近では、呪術廻戦での乙骨憂太登場の0巻や夏油傑の過去編、
そして、映画が公開された鬼滅の刃では、煉獄杏寿郎を倒した猗窩座、
あんなに憎かったのに、過去編が公開されると一気に好きになりました。
早速、トロピカル王国物語にも過去編を創る事にしました。 そこから生まれたのが「忘れられた伝説の物語」です。

改めて過去編を制作してみると、大きな変化が生まれてきました。
まず、キャラクターの「存在理由」がハッキリするようになりました。 その行動や性格などがより具体的になり、躍動感が増していきます。 「フルーツ魔法」などの存在も無茶振り感があったのですが、 過去編でその存在理由を積み重ねていくと、 まったく違和感がなくなり、「安定感」が出てきました。
物語自体の深みと共に、より感情移入しやすくなるようになりました。
2つの要素を取り入れ、2021年4月現在、本編(トロピカル王国物語Ⅰ)の他に5つのサイドストーリーが公開されております。 トロピカル王国物語を楽しんで頂いた後に園内及びホームページで読めるようになっております。
これからもどんどん過去と現在の物語を積み重ねていき、 未来のⅡ・Ⅲにて「調和」というテーマへと集約していきます。









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